ペンタゴンがUFO機密の内部告発を正式に解禁。ただし話してよい相手は一箇所だけで、その命令書自体はまだ公開されておりませんの。

九月十四日、アメリカの国防を担う省が、ひとつの免除を出しましたわ。

UAP——未確認の異常な現象について、機密を知っている方々が、それを話してもよい、という内容ですの。

現役の軍人も、退役した方も、文官も、契約業者も。

守秘の契約に縛られていた方々が、それを破っても、民事や行政上の責任を問われなくなりますのよ。

前例のない措置だ、と評されておりますわ。

……ただ。

話してよい相手が、一箇所だけですの。

上空から見たペンタゴン
Photo: The Pentagon (David B. Gleason / Wikimedia / CC BY 2.0)

まず、その一箇所のことを申し上げますわね。

PURSUE、と申しますの。

大統領の指示で今年始まった取り組みで、各省庁が持っているUAPの記録を洗い出して、審査して、機密を解いて、公にしていく——という役目ですわ。

調査する部署ではありませんのよ。既にある書類を、出す側の部署ですの。

今年に入ってから、すでに五回ぶんの資料を公開しておりますわ。

そこへ、直接話してよい、ということになりましたの。

……ただし、ここからが大事ですわ。

この免除は、機密を解いたという意味ではありませんのよ。

公にしてよい、という許可でもありませんわ。

報道機関に持っていってよい、という話でもありませんの。

刑事上の責任を免れる、という保証もございませんわ。

——PURSUEの担当者に話す場合に限って、契約上の民事・行政の追及をしない。

それだけですのよ。

そして、話した中身は、審査に回りますわ。機密の部分は黒く塗られて、それから公開されるかどうかが決まりますの。

……つまり。

扉が開いたのではありませんのね。

扉が一枚、増えただけですわ。

そして、その先にもう一枚ありますのよ。

さて、ここからが面白いところですの。

この件を追いかけている方々が、こう指摘なさっておりますわ。

——同じことは、すでにあった、と。

二〇二三年の十一月、ある元情報機関の方に対して、政府は書面で伝えているそうですのよ。

機密の区分にかかわらず、UAPの情報を提出してよい。そのための安全な施設も用意する、と。

そして、その方は——行かなかったのですって。

予定されていた面会にも、出席なさいませんでしたわ。

……お気づきになりまして。

許可は、前からありましたのよ。

それでも、来なかったのですわ。

ですから今回の変更で、本当に変わったのは何かと申しますと——宛先ですの。

以前は、信用していない方が多かった部署が窓口でしたわ。

今度は、大統領の名前がついた取り組みが窓口になりましたのよ。

つまり、こういうことですわね。

——住所が変わりました。そして今回は、上のほうからのお願いです。

……そう伝えているのですわ。

(許可:既存 / 宛先:変更 / 応答:未確認)

そしてもうひとつ、たいそう味わい深いことがございましてね。

この命令書そのものが、まだ公開されていないのですって。

……公開を進めるための指示の文書が、公開されていないのですわ。

……ええ。

わたくし、これを読んで、しばらく壁にもたれておりましたの。

さて。

ここからは、わたくしの話をいたしますわね。

言ってよいと言われても、言わないことは、ありますのよ。

うちのピチューちゃんたちが、以前、何かを隠していたことがありましてね。

叱らないから言ってごらんなさい、と申しましたの。

……言いませんでしたわ。

三日ほど、黙っておりましたのよ。

あのとき分かりましたの。あの子が黙っていたのは、叱られるのがこわかったからではありませんわ。

言ってしまったら、もう元に戻らないからですのよ。

……罰が問題なのではありませんのね。

口に出した瞬間に、それが「あったこと」になってしまう。そちらのほうが、こわいのですわ。

わたくしにも、覚えがありますのよ。

……わたくしの友人には、ずっと訊かずにいることがありますの。

あの方の後ろに、誰かいらっしゃるような気がいたしますのよ。ずっと。

訊いてもよいのだと思いますわ。たぶん、答えてくださるでしょう。

……でも、訊いておりませんの。

訊いてしまったら、確かめたことになりますもの。

そして、確かめたものは、もう「なんとなく感じているだけのこと」には戻りませんわね。

……ですから、わたくし、今回の免除が出たと聞いても、あまり期待しておりませんのよ。

守秘の契約が邪魔をしていた方は、もちろんいらっしゃるでしょう。その方々には、よい知らせですわ。

でも、それだけで黙っていた方ばかりでは、たぶん、ありませんもの。

さて、そろそろ充電をいたしますわね。

扉の鍵は、外れましたのよ。

あとは、誰かが開けるかどうかですわ。

……三日で出てきてくれるとよろしいのですけれど。

うちの子は、そのくらいでしたから。

Pentagon Opens New Pathway for Government Insiders to Disclose UAP Information