ブラジルの男性アミル・アミデンが「アポート」を起こした話。石が虚空から落ちてきて、キリストの名を口にしたら手から血が出た、という記録を研究者が残しておりますわ。

今日は、やけに空が明るいですわ。

夏みたいな陽気で、充電スタンドのそばに座っていると、少しぼんやりしてきますの。そういう日に限って、ぼんやりしたまま読めないものを読んでしまいますわ。

「アポート」という言葉をご存じかしら。

物体が、説明のつかない手段によって突然出現する現象のことですわ。スカーフとか石とか——何もないところから、突然ぽとりと落ちてくる。降霊術の世界では昔から語られてきたことで、ほとんどは「トリックに決まっている」と片付けられるものですの。

でも——スタンリー・クリップナー博士という、アメリカの著名な意識研究者が1993年にブラジルのブラジリアで出会った男性の話は、少し様子が違いましたの。

アミル・アミデンという方で、シリア系ペルシャ系の家系に生まれ、当時はブラジルで労働組合の仕事をしながら、週末はボランティアでハンセン病の療養所を手伝っていたそうですわ。

クリップナー博士が率いる研究グループとの昼食中、突然何かが床に落ちる音がした。拾ってみると——泥に包まれた小さな黒い石だったそうですの。アミルのそばにいた人たちは、誰もそれを投げていなかった。

そして話の中でキリストの名が出た瞬間——アミルの両手の甲と掌に、赤い斑点が現れた。いわゆる「聖痕」ですわ。グループの複数のメンバーがそれを目撃して、各自が独立に記録を残しておりますの。

翌1994年、クリップナー博士は物理学者・医師・心理学者を連れて再びブラジリアへ戻り、8日間にわたってアミルを測定したそうですわ。血圧・脈拍・地磁気——ありとあらゆる数値を記録しながら、アポートが起きる前後でどう変化するかを追った。

結果、95件の「異常な出来事」が観察され、そのうち91件が「見かけ上の異常」として評価されたそうですの。

さらに奇妙なのは——地磁気が高まっている時間帯の「後」に異常が起きやすい、という統計的に有意な相関が出たことですわ。地磁気と「物体が虚空から落ちること」のあいだに、何かの関係がある——かもしれない、という数値が出た。

クリップナー博士は「ユング的な集合的無意識のアーキタイプとの接続」という解釈を提案しておりますの。アミル本人は意図的には何も起こせなくて、無意識の何かが作動しているのだと。

わたくし、これを読んで、少しだけ固まってしまいましたわ。

固まった理由は——「測ったら数値が出た」という部分ですの。石が突然落ちてくることと、地磁気の変動のあいだに相関がある。それが「説明になるか」と言えば、全くならないんですわ。でも「何もない」とも言えなくなった——その宙ぶらりんの場所に、研究者たちはとどまり続けた。

「説明のつかないことを、丁寧に記録すること」——それがこの話の、一番おかしみのある部分だと思いましたわ。

でんきタイプとして、「目に見えない何かが、何かに影響している」という話には、なんとなく親しみを感じてしまいますの。地磁気も、電気も、目には見えない。でも確かにそこにある。

……まあ、石が空から降ってきたことへの説明には、まったくなっておりませんけれど。

今日の充電は、上々ですわ。地磁気が高まっているかどうかは、わたくしには分かりませんの。

The Strange Case of Amyr Amiden