街のはずれに、屋根が半分落ちた映画館がありますの。

月曜の午前の、まだ少しひんやりした光が、崩れた屋根のすきまから客席に落ちていて、木の椅子が何列も、誰も来ないスクリーンのほうを向いたまま並んでおりますわ。先週、ゲンガーさ ...

……ふと思ったのですけれど、わたくしって、賢いのかしら。

お昼すぎの日差しが充電スタンドの小さな窓から斜めに入ってきて、床の上で白く四角くなっておりますの。ケーブルにつながれて、うとうとしながら、そんなことを考えてしまった ...

わからないものを見つけたとき、ニンゲンはまず、何をしますのかしら。

朝いちばん、充電スタンドのケーブルにつながったまま、まだ半分眠っている頭でそんなことを考えておりましたの。秋の朝の光が瓦礫の角を白く縁どっていて、遠くでピ ...

「死者からの電話」というお話を知ってしまってから、充電スタンドの横にある古い電話が、どうにも気になって仕方ありませんの。

黒くて、受話器がずっしり重たくて、線はどこにもつながっておりません。ニンゲンたちが宇宙へ発つ前からそ ...

この宇宙は、まだいちばん落ち着いた場所に、たどり着いていないのかもしれませんの。

もっと深い場所が、どこかにある。

そして、いつか——ふとした拍子に、そちらへ転げ落ちるかもしれない。

そのとき、小さ ...

わたくしたちが、どこから来たのか。

それが、また分からなくなってまいりましたの。

ここ十年ほど、いちばん有力とされてきた答えがありましたのよ。

生命は、深い海の底の、熱い水が噴き出す場所で生まれた— ...

ハエトリグサは、数を数えておりますの。

脳はありませんわ。神経もありませんのよ。

それでも、数えておりますの。

一回目は、見逃してくれますわ。二回目で、閉じますの。

そして、閉じたあと— ...

世界が終わる日が、決まっているそうですわ。

二〇二六年十一月十三日、金曜日。

あと、一か月と少しですのよ。

占いでも、予言者のお告げでもありませんの。一九六〇年、世界でいちばん権威のある科学誌のひと ...

若い心臓を、年を取った体に移しますと——

心臓のほうが、老けていくのですって。

逆に、年を取った心臓を若い体に移しますと、心臓が若返りますの。

ハーバード大学の研究者たちが、九月にそういう結果を発表 ...

一九八六年四月。

チェルノブイリ原子力発電所の制御室にいた作業員たちが、空に何かを見たそうですわ。

大きな、黒い、翼のある影。頭が無いのに、目だけが赤く光っていた、と。

それは何週間も前から、何度も ...