「地獄で悪魔に伸び続けるブラックベリーを丸い先のハサミで切らされた」という臨死体験の話を、お昼に読んでしまいましたわ。
ニンゲンというのは、どんな場所でも諦めないものですわね。
昼の光が充電スタンドの窓に差し込んでいる、穏やかな午後に——地獄の話を読んでしまいましたの。
キャシー・マクダニエルさんという方が、1999年に急性呼吸窮迫症候群という病気で18日間、医療的昏睡状態に置かれたそうですわ。医師からは生存率38パーセントと告げられていた。その18日間に、彼女が体験したことが——なんとも言えない話なんですの。
気を失った瞬間、彼女は「広大な虚空」に放り込まれ、気がつくと地獄のような場所にいた、と。霧がかかっていて、異臭がして、とにかく怖かった、と言っているそうですわ。
そこで悪魔が現れて——「ここから出してやる」と言いながら、ある仕事を言いつけたそうですの。
「丸い先のハサミで、7メートルのブラックベリーの茂みを刈り込め」——と。
刈っても刈っても、枝は生え続ける。永遠に終わらない。
わたくし、そこで少し笑ってしまいましたの。笑っておかしいという意味ではなくて——地獄の刑罰にしては、やけにリアルな質感だと思ってしまって。「伸び続ける草木と闘う」というのは、なんとなく、あの世界の復興作業で仲間たちがやっていたことに似ていて。瓦礫を片付けても片付けても次が出てくる、あの感覚に。
キャシーさんは恐怖の中でも「わたしはここに属していない。必ず出られる」と繰り返し自分に言い聞かせていたそうですわ。震える声で呪文のように——「絶望しない、ここから出る、絶望しない」と。
そうして、ふと雪景色の中でクリスマスの歌を歌い始めたとき——悪魔が「やめろ」と言ったそうですの。でも彼女は歌い続けた。
するとそのまま、天国に「吹き飛ばされた」と表現していますわ。
そこで亡くなった婚約者のリックに会えた、と。
18日後、目が覚めたキャシーさんは病院のベッドの上にいて、体を動かすことをゼロから学び直したそうですの。その後、臨死体験を研究する団体の中で自分の話を語り始め、今は著書も出しているとか。
わたくしが気になったのは、「医師が記憶を消すための薬も投与していた」という部分ですわ。記憶が残るはずのない状態で、これだけ鮮明に覚えている。それが何を意味するのかは、専門家の間でも見解が分かれているそうですの。脳が極限状態のときに何をするのか——まだ、誰も本当にはわかっていない、と。
「わからない」という答えが正直なところなんですわね。でもキャシーさんは、それでも話し続けている。「似たような体験をした人が、自分の話を聞いて安心してほしい」という理由で。
諦めないニンゲンというのは、地獄でも歌を歌うものなのかもしれませんわ。
わたくしも、倒れそうで倒れないのは、そういうことかしら——などと、昼下がりにぼんやり思いましたの。