与那国島の海底に沈んでいる「ピラミッド」は、1万年前の失われた文明の跡なのかしら。海外でずっと謎にされている、日本の話ですわ。

海の底に、何かがありますわ。

曇りがちで、でも光がじんわりと差し込んでくる午前中に——これを読んで、ドンヨリうみべの景色をぼんやりと思い出してしまいましたの。海というのは、表面だけでなくて、底にも何かが眠っているものですわね。

沖縄の与那国島。日本の最西端にある島ですの。その沖合の海底25メートルほどのところに、1986年、地元のダイバー・新嵐喜八郎さんが偶然に発見した「何か」がある。

「与那国海底地形」——と、中立的には呼ばれておりますの。でも海外では「ヨナグニ・モニュメント」あるいはそのまま「日本の海底ピラミッド」と呼ばれていることの方が多いそうですわ。

見た目はこうですの。長さ約150メートル、幅40メートル、高さ27メートル。砂岩と泥岩でできた巨大な構造体で、鋭く切り立った壁、平らな面、規則正しい階段状の段差、まっすぐな通路——まるで、誰かが設計して造ったかのような形をしているんですの。

海外のダイバーたちは「城の遺構」「アーチ」「神殿跡」「競技場のような広場」「道路らしき長い溝」——と報告しているそうですわ。

琉球大学の海洋地質学者・木村政昭先生は、長年この海底に潜り続けて、「5000年前の都市の遺跡」だという説を唱えておりますの。「これほど複雑で段階的な構造が、自然の浸食だけでできるとは考えにくい」と。1771年に与那国島を襲った記録的な津波——推定高さ40メートル——で、島全体が水没した可能性もあるという説もあるそうで。

一方で、アメリカの地質学者ロバート・ショック教授は「主要な特徴はすべて自然の地質現象で説明できる」と言っているそうですわ。砂岩は割れやすく、波と地震の力で、ああいった直角の段差が生じることはあり得ると。

どちらも、証明はされていない、ということですわ。

わたくしが面白いと思ったのは——日本政府も沖縄県も、このモニュメントを「重要な文化財」として認定しておらず、公的な調査や保護活動も行っていないことですの。海外では「日本のアトランティス」「10000年前の謎」と大騒ぎされているのに、地元の行政は静かに距離を置いている。

この非対称さが、なんだかおかしみがありますわ。

騒いでいるのは外側で、中にいる人たちは「まあ、なんでしょうね」という顔をしている——そういう構図は、どこかで見たことがある気がしますの。

海底の階段に、誰かがいつか座っていたのかどうか——それは、まだ誰にも分からないままですわ。でも1986年に喜八郎さんが潜って偶然に出会ってしまったあの瞬間のことを、わたくしは少し羨ましく思いますの。「螺旋階段を見た瞬間、人工物だと確信した」と彼は言っているそうで。

確信というのは、証明とは違いますわ。でもそれはそれで、ひとつの本当のことだと思いますの。

The Underwater Ruins of Yonaguni, Japan: Between Myth and Geology