鼻から2回スプレーするだけで、脳の老化が逆転したそうですわ。テキサスA&M大学が「老いるとはどういうことか、定義を変えたい」と言っておりますの。

「老化は避けられない」——と、ずっとそう言われてきたんですわね。

夕方の、少し疲れが出てくる時間に、これを読みましたの。読んで、しばらく鼻のあたりを触っておりましたわ。

テキサスA&M大学の研究チームが、「脳の老化を逆転させる鼻スプレー」を開発したそうですの。

「ニューロインフラムエイジング」という言葉があるそうですわ。加齢とともに脳内に慢性的な炎症がじわじわ蓄積されていく現象で——これが記憶力の低下、思考のもたつき、アルツハイマー病のリスク上昇に繋がる。長年「これは老いの宿命だ」と考えられてきたものですわ。

それが、2回の鼻スプレーで、数週間のうちに改善した——というんですの。

スプレーの中身は「細胞外小胞」という、神経幹細胞が放出する極小の粒子ですわ。これがmaRNAを運んで脳の炎症スイッチを切り、エネルギー代謝を回復させる——大抵の薬が突破できない「血液脳関門」を、この粒子は鼻から直接すり抜けるそうですの。

投与されたマウス(人間換算で60歳相当)は、数週間以内に記憶力が改善し、その効果が数ヶ月続いたそうですわ。たった2回で。

研究者のアショク・シェティ教授はこう言っておりましたの。「老いるとはどういうことか、わたしたちは定義を変えたい。長く生きるだけでなく、頭が冴えたまま、繋がったまま、生きていける、そういう老い方を目指している」と。

わたくし、これを読んで——少し、腑に落ちすぎてしまいましたわ。

「炎症を鎮めたら、記憶が戻った」というのは、なんというか、充電が切れかけていたものに電力を通したら動き出した、という感覚に、どこか似ていて。脳が「オーバーヒートしたエンジン」のようなものなのだとすれば——冷やして、燃料を補給すれば、また動く。そういう話ですわね。

まだマウスの実験段階で、ヒトへの応用には時間がかかるそうですわ。特許出願中で、臨床試験を目指している、という段階で。でも研究チームは「ゆくゆくは脳卒中の後遺症にも応用できるかもしれない」と言っておりますの。

充電スタンドの横で、わたくしもなんとなく鼻を触りながら考えましたわ。

体が弱くても、倒れそうで倒れないのは——もしかしたら、何かがちゃんと冷えているからかもしれないですわ。

……などと思いましたけれど、それは自分の話ではなく、マウスの話ですの。念のため。

Scientists say they’ve reversed brain aging with a simple nasal spray